3月初旬という日本的にはとても忙しい時期に
『コルチャック先生の選択』公演に、ご来場いただきありがとうございました。
コルチャック先生は、お芝居でも紹介されましたが、「子どもの権利条約」の基礎を考えた人です。でも、このお芝居は、彼の功績をたたえるためのものではありません。ナチスに迫害され、多くの子ども達や老人達、いわゆる弱者といわれる人たちへも、その追及の手を緩めなっかたナチスの行為を観ながら、私だったらどういう選択をするか、という問いかけをしている作品です。イギリスでは、このような作品の上演とともに、事前、事後のWSが合わせて行われ、結果ではなく選択に至るプロセスをディスカッションするという時間が保証されています。いきなり、日本でこれがそのまま受け入れられることは難しいと思いますが、結果ありきですべてがまとまる(言い換えれば強い意見に流されてる方が楽だという傾向)ことの恐さ、何も考えないで月日を重ねていくおろかさをどこかで気づいていく、その1チャンスになればと思い企画しました。
昼公演のアフタートークで、アジオ役のケビンが、「自分からみなさんに質問したい」といい、「広島、長崎の原爆投下について、日本の人は、みんな原爆には反対だがアメリカは憎んでないと言います。日本人てこんなに寛容な人たちなんだ、とびっくりしました。もし僕達スコットランドだったら、こんなに簡単にアメリカを許せないし、こんなに好きになれないと思う。ほんとにみんな、こんなに寛大な気持ちを持ってるの?」と投げかけました。会場は苦笑いが広がりました。
平和は大事、戦争はよくない、ということを教条的に教え込まれている日本の子ども達(大人も)は、この結論に至るまでのプロセスを奪われているように思います。戦争は仕方ないこともあるという意見は、正義の声で一瞬に消え去ってしまう。でも、ここのところを十分に議論しないと、真に平和を考えたり戦争を反対したりという勢力にはならないですね。教育の力は恐いです。これを機に、学びあう場を持ちましょう!学ぶということは、感じること、そして自分で考えることだと思います。決して正解を求めることではないと思います。この『コルチャック先生の選択』の“選択”にこめられた意味を、もう一度考えてみませんか?今回、見に来てくださったみなさんに感謝するとともに、少しでも権利=当たり前のことという意識が広がっていくことを願います。
(子どもコミュニティネットひろしま 代表理事 小笠原 由季恵)
事前ワークショップ「独立行政法人国立病院機構 呉医療センター附属リハビリテーション学院」のみなさん(3月2日)
事前ワークショップ 一般向け (3月2日夜)
事前ワークショップ 広島市南区あさひ幼稚園の先生方(3月3日)
事前ワークショップ 講師:スティーブン・スモール氏
公演後のカーテンコール場面
平和公園をまわられた劇団の方々
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