僕のお薦め 『MIKROPODIUM』 人形芝居 燕屋 くすのき燕
MIKROPODIUMとは、マジャール語で小さな舞台のこと。
1998年5月、ポーランドのビエスコビアワ国際人形劇フェスティバルの最終日、ストリートでの上演者が一同に会して、街の広場で連続上演をしました。そこでの上演がおわると、最終公演のある市民劇場まで短いパレードをするのです。肩掛け人形芝居『ねずみのすもう』で参加していた僕もその中にいました。少し早くおわった僕は、広場のカフェでビールを飲んでいました。上演が終わった開放感もあり、そこに集まったヨーロッパの人形劇人たちに「この舞台は飛行機にものるぞ!」と僕の「小さな舞台」を自慢していました。そこへ、公演が終わったレナート氏がやってきて、「俺のはもっと小さいぞ」と、すでにパッキングを終えた状態の舞台を見せてくれました。僕は「うーむ」と小さく唸り、「日本に来ない?」と明るく誘ってみました。彼は「機会があれば、行ってみたいなあ」と応えてくれました。
STOP!は、そのときに上演していた演目です。
屋内外のあらゆる場所で、上演が可能。小さなステージに登場するシンプルな人形たちは、彼の精緻な人形操作のテクニックによって、生命を与えられます。セリフは一切なし! ひとつひとつの作品は3分から5分程度のものですが、音楽に合わせた動きの中に「詩」がつまっています。
作品の優れた芸術性は勿論ですが、それとともに素晴らしいのは、彼の観客への謙虚な姿勢です。拍手を受けた時の、彼のはにかんだような照れたような笑顔に、ぜひ出会ってみて下さい。
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